DDSシステム(ドラッグデリバリーシステム)とは?

DDSシステム(ドラッグデリバリーシステム)とは?

目には見えない革命的な技術で、薬を伝達する仕組みとなります。
医療分野で「医薬品を目的の部位に必要な量、必要な時間だけ送り込み最高の効果を得ることを目的とした、投与に関する概念」から開発されたシステムで、その頭文字をとって、ドラッグデリバリーシステム(Drug Delivery System)とよばれています。定義としては、薬の投与部位から作用発現部位に至るまで薬物の体内動態を1つのシステムとして捉え、コントロール制御することにより、薬の効用を最大限に高める一方で、薬の量や投与回数、副作用を軽減し、患者の負担を減らすことに大きく貢献します。さらに、「必要な薬物を必要な時間、適切な場所」に届ける技術であるDDS(ドラッグデリバリーシステム)にはこれまで治癒が困難とされてきた様々な疾病、難治性希少疾患の治療にも活路を開くものとして、大きな期待が寄せられています。 DDS (ドラッグデリバリーシステム)は、再生治療の応用として、薬物に新たな役割を与え薬物治療の可能性を切り拓く究極の創薬システムといえるのです。

歴史的には、今から20年ほど前(意識され始めたのは1970年代)から薬物治療の方法論として研究されてきましたが、近年様々な分野における必要不可欠な基盤技術として注目されています。
薬が患部に届くのはわずか0.5%といわれています。

体内に取り込まれた有効成分が、目的とする細胞まで届く割合がどれくらいかというと、実は0.5%程度といわれています。
体にいい有効成分はたくさん発見されています。人間の体には、水分、油分、また体温があり、体内の様々なものと化学反応を起こしたり、体の免疫機能や排泄機能もあるため、有効成分が目的の細胞に充分作用させることが非常に難しいわけです。そのため薬の成分によっては、生体内で速やかに分解されて効力がなくなるものもあります。あるいは、必要のない部位に作用し副作用を引き起こすこともあります。

薬を体内の目的の細胞に届け、不必要な細胞に届かないようにする。それによりわずかな量の薬で効き目をよくし、逆に副作用を軽減することにつながります。また、必要なタイミングで薬が目的の細胞に届くように調整したり、薬を長く患部の近くにとどまらせ、薬の効果を持続させるなどの技術開発も飛躍的に高まってきています。
例えば、同じ効果のある薬でも、早く溶け出す粒から、遅くに溶け出す粒までを一つのカプセルに収めることで、体の中で順番に溶け出し、長時間効果を持続させることが可能になります。

DDS(ドラッグデリバリーシステム)が大きく期待される分野としてはがん治療の分野です。今や2人に1人はがんにががり、3人に1人はがんで命を落としています。このような中、抗がん剤などを癌細胞にだけ集中的に届ける技術、DDS(ドラッグデリバリーシステム)が注目されているわけです。

現在、癌の治療方法は大きく分けて3通りあります。
(1)「手術療法」
(2)「薬物療法」
(3)「放射線療法」
です。

しかし、いずれの方法も課題を抱えているのが現状です。
手術療法の場合、患部にメスを入れるため治癒(ちゆ)に時間がかかる上、微細な癌細胞を他へ付着させ転移を招く恐れもあり、また手術できない箇所にある癌は摘出できません。
薬物療法や放射線療法の場合、癌細胞だけでなく正常な細胞にまで影響を与えてしまうため患者は強い副作用に苦しめられます。それに対して、DDS(ドラッグデリバリーシステム)技術を使用することで、血管を通って血液と一緒に運ばれた極小のカプセルが、癌細胞だけに蓄積し、そこで初めて封入しておいた抗がん剤を放出するという仕組みのため、正常な細胞にほとんど影響を与えません。副作用を起こす心配がない上に、効率良く癌細胞を死滅させることができる訳です。

現在、DDS (ドラッグデリバリーシステム)はがん治療はもちろん、疾患の用途に合わせて様々な開発が進められています。

●ドラッグデリバリーシステムの特徴の一つに

バリアゾーンの通過促進があります。

人間の体には外敵から身を守るための2つの代表的なバリアゾーンがあります。
皮膚のバリアゾーンと、腸のバリアゾーンです。

皮膚のバリアゾーンは皮膚の表皮にあり、水分子一つすらも通さないレベルです。水をこぼしても、体の中にまで水は入ってきません。通してはいけないものを通さない。これはなくてはならない仕組みです。

ドラッグデリバリーシステムは、例えば、細胞の間隔を広げて薬を通りやすくする吸収促進剤と組み合わせや最適なサイズと性質を与えることで、薬が組織や細胞膜のバリアゾーンを通過・吸収を実現しています。

また新しいカプセル化技術も次々開発され、「ナノカプセル」「リポゾームカプセル」などにより、いままで難しいとされていた、化粧品など、不安定な成分を安定させながら真皮に届けることが可能になりました。
肌のバリア層を通り抜け、素早く浸透し角質層にとどまることで、長い時間栄養を必要とする目的地に有効成分を放出し続け、さらに絶えまなく確実な効果を発揮し続けます。

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